- 射出成形オペレーターの知識蔵>金型取付ボルト・ネジ穴の悩み>ボルト強度とねじ込み深さ
- ボルトは材質や加工処理方法の違いにより強度が異なります。ボルトの強度はボルト傘に刻印がされているため、刻印を確認することで強度は判別することが出来ます。
ボルト強度に応じた締め付けトルクを加えるには、ネジ穴(雌ネジ)のねじ山にはまり込んだ分(有効ネジ山)でのねじ込み深さがボルトの直径の1.5倍以上あることが必要です。主なボルトの強度と締め付けトルク
単位:N・m(kgf・cm)サイズ・強度 4.8 6.8 8.8 10.9 12.9 M12 29.1
(297)58.3
(595)77.6
(791)109
(1111)131
(1336)M16 72.3
(738)145
(1479)194
(1979)271
(2764)325
(3315)M20 141
(1438)282
(2876)376
(3835)529
(5395)635
(6476)M24 244
(2489)488
(4977)650
(6629)915
(9331)1100
(11216)
成形機の金型取付ボルトは、強度4.8の一般用ボルトを使用すると金型の締め付けトルクに不足します。ボルト強度は6.8以上を使用し、特にメーカーから提供されているボルトの強度を参考にします。
また、実際の締め付けは強度の高いボルトを使用する時、ネジ穴側の強度も関係するためボルトの強度を元にしたトルクだけでなく、ネジ穴側の強度も考慮してトルクを定めます。
上記表は、あくまで参考値であり諸条件により締め付けトルクは異なります。
ボルトのねじ込み深さ
ボルトにトルクを加えた時、ねじ山がトルクに耐えて機能するためにはボルトの軸径のおおよそ1.5倍の長さでねじ山がはまり込んでいることが必要です。M16ボルトでは16mm×1.5=24mmが必要となります。
ボルトやネジ穴のねじ山が痩せている。欠けているなどの損傷がある場合、損傷個所を除いた分でのねじ込み深さが必要となります。
ボルトの破断とせん断
ボルトの強度超えるトルクでの締め付けが行われると、ボルトは最悪破断します。破断は十分なネジ込み深さがある時に発生であり、ねじ込みが不足している時には破断の他、ねじ山の先の変形や破断するせん断が発生します。
特にせん断は、適正トルクであってもねじ込みが不足している場合にも発生します。
ネジ穴(雌ネジ)の破断とせん断
特に深刻となるネジ穴(雌ネジ)側のねじ山のせん断です。
使用するボルトとネジ穴の強度が同じとき、ボルト側(雄ねじ)の方がせん断荷重を大きく受けるため、先にボルト側(雄ねじ)が壊れます。ボルト側(雄ねじ)が先に壊れることで、万が一があっても成形機側のネジ穴(雌ネジ)の被害は少なくなります。
しかし、不適切にネジ穴(雌ネジ)側より強度の高いボルト(雄ねじ)使用するとせん断はネジ穴に発生するため、金型が取り付けられないなどの深刻な問題に発展し易くなります。
ボルトの強度刻印・ねじ山の破損と変形

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・六角ボルトの強度刻印
六角ボルトの傘に刻印された強度です。10.9の刻印が強度。
10が呼び引張強さ
1000N/mm2
9が9割りまで塑性変形が発生しない降伏点とを示します。
降伏点900N/mm2 
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・キャップスクリュウー(六角穴付ボルト)の強度刻印
キャプスクリューでも小さいですが刻印がなされています。 
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・ボルトサイズとねじ込み寸法
M16ボルトの寸法です。
ボルト軸60mm、ねじ込み深さが24mm。取付け可能な範囲はネジ穴側に欠損がなく、最良の状態で座金を含めた厚み最大で36mmとなります。 
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・ねじ山がトルク負けしたボルト
ねじ山に耐久力を超える大きな負荷がかかったことでせん断されたボルトです。
先端部のねじ山が大きく変形・破損(せん断)しています。 
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・ネジ穴(雌ねじ)がせん断したボルト
ボルト側の強度がネジ穴(雌ねじ)を上回り、ネジ穴(雌ねじ)のねじ山がせん断しボルトに貼り付いた状況です。ネジ穴(雌ねじ)はボルトのように交換が出来ため、深刻な破損となります。 
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・先端のねじ山が変形したボルト
日頃のボルトの取り扱いが悪いことで先端部が傷付き、欠けや変形が生じたボルトです。
床に落とす。工具台車等の保管されたボルトに上に落とす。放り投げる等すると傷や変形がおきます。
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