射出成形オペレーターの知識蔵

射出成形オペレーターの知識蔵付着異物の種類と発生源>金型の樹脂カスの発生源と原因
 プラスチック成形において、金型構造等により金型の製品部でゲートやバリによる樹脂カスが発生し、製品に付着することがあります。付着した樹脂カスが品質上の問題となる時、樹脂カスの発生削減や付着防止。付着した樹脂カスの除去等の異物付着対策を行わなければなりません。

金型の樹脂カスの主な発生源

ゲートカス
 製品部とランナーを繋ぐゲート部は、型が開く際に引きちぎられることで分離します。分離箇所の形状や材質によっては、綺麗に切断されずに樹脂カスが発生します。

バリカス
・パーティングライン(PL)のバリカス
 金型の接合部は、擦り合わせが悪いと隙間に樹脂が流れ込むことでバリが発生し、薄いバリによる樹脂カスが発生します。
 PLのバリは、擦り合わせの問題だけでなく、射出圧力や樹脂温度が高すぎる。金型冷却能力の不足等により、本来擦り合わせに問題がない場合でも成形条件により発生することがあります。

・割型など可動部のバリカス
 割型やその他スライド部など頻繁に稼働する箇所は、当初擦り合わせに問題がなくても、連続稼働することで擦り合わせに問題が発生し、バリによる樹脂カスが発生します。
 連続成形による擦り合わせ問題として、金型の熱膨張によるもの。金型潤滑油の性能低下によるもの。金属齧りによるものなどがあります。

飛散樹脂によるカス
・スプルからの樹脂カス
 金型からスプルを取り出す時、スプル・ランナーが金型を擦ることで発生する樹脂の破片。ランナーロックピン等からバリカスが発生し、スプルの取り出し動作により樹脂カスを飛散させることがあります。
 製品部とスプル・ランナーは、サイドゲード等を除き多くの場合で間に金型を挟んでいます。しかし、取出機の動作により樹脂カスが飛散することで金型の製品部周辺に付着することで、次の成型時に樹脂カスの付着や溶着する場合があります。

・粉砕片などの飛散カス
 不良製品やスプル・ランナーを再利用する粉砕機は、取出機の稼働範囲の都合から多くが成形機の側に配置されます。粉砕時に飛散する樹脂片が金型内に飛びこむと、金型動作により潰され薄いバリのような樹脂カスとなります。長時間成形をすることで、樹脂が飛び込む可能性が例え僅かでも大きな原因となります。

各樹脂カスの具体的な対策は次ページ「金型の樹脂カス対策」へ

樹脂カスと発生原因

  • 金型の樹脂カス
  • ・金型の樹脂カス

     金型の製品部に付着した樹脂カスです。型締め動作を繰り返す過程で、元は小さな樹脂カスでも重なり結合することで大きな樹脂カスへと成長します。
     製品部に近い箇所に付着すると次の成形において製品と溶着します。
     また、樹脂カスが大きくなるとバリ等の発生原因ともなります。 

  • 割型の可動部
  • ・割型の可動部

     型締め型開き動作に伴い金型がスライドする割型部です。
     スライド部は樹脂漏れがないよう擦り合わせがなされ、金属齧りがないよう金型潤滑油(グリス)が塗られています。
     潤滑油の劣化による動作不良により金属齧りが起きると、擦り合わせが悪くなり樹脂カスの発生源となります。 


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