- 射出成形オペレーターの知識蔵>原料の悩み>プラスチック成形過程での色ムラ対策
- マスターバッチとナチュラルペレットを加熱等で融解させて混錬し濃度を均一にしますが、混錬が不足すると色の濃いマスターバッチの顔料が充分に広がらないことで色斑が発生します。
計量過程(混錬不良)での色斑対策
粉砕の活用
一度射出成形された不良製品やランナー・スプルの粉砕は、色だけを見るとマスターバッチとナチュラルペレットが混ざった着色ペレットと似たものです。
混合原料と一度成形機を通った粉砕を混ぜることで色斑が軽減します。
・利点
初期生産分を粉砕してホッパーで混合することで容易に対策をすることができます。
・欠点
成形に粉砕を使用できない生産では対策を行えません。
粉砕が混じることでクッション値等が変わるため、射出条件の調整が必要となります。
粉砕が混じると計量時間が長くなるため、冷却時間が短い製品では計量が間に合わない場合があります。
計量設定の変更
背圧の変更
樹脂を計量する背圧設定を高くすると、樹脂の混錬がすすみ色斑が軽減します。
・利点
数値の変更だけで容易に混錬能力を高くすることが出来ます。
・欠点
シャットオフノズルがないノズルでは先端からの樹脂のハナタレ。連続成形中では計量中(冷却中)に樹脂圧が加わり製品に影響起こることがあります。
ハナタレを解消するためサックバックの値と大きくする必要となりますが、サックバックを大きくするとフラッシュ等の別の不良原因に繋がります。
背圧が高いとスクリュー回転速度が同じでも軽量時間が長くなります。
連続成形を行うと加熱等温度が設定温度以上に上昇することがあります。
加熱筒温度の変更
加熱等温度を高くすると樹脂融解により混錬すすみます。
・利点
樹脂融解が早い分だけ計量時の混錬量を多くすることが出来ます。
・欠点
樹脂温度が高いほど樹脂ガスの発生が多くなります。
バリの原因となります。
早い段階で樹脂が融解するため、樹脂の種類によっては巻き込みが顕著に悪くなり、空転によるヤケや発生や、計量時間が長くなります。
ミキシングタイプへの変更
成形機の計量や射出過程において、スクリュー等の構造が混錬に大きな差が生まれます。スクリューやノズル部の構造変更により色斑を軽減します。
ミキシングスクリューへの変更
加熱筒内部のスクリューを高混練ミキシングスクリューに変更することで混錬性能を高めます。
・利点
成形機のメーカーオプションで変更できるため、スクリューの入替など比較的容易に構造を変更することができます。
・欠点※
標準的なスクリューと比較して樹脂抜け(色抜け)が悪くなります。
背圧やスクリュー回転速度等の計量条件が変化します。
※所感として標準的なスクリューとの差はさほど気になるほど感じませんでした。
ミキシングノズルへの変更
加熱筒の先端のノズル部を内部のスクリューを高混練ミキシングスクリューに変更することで射出時に混錬を行います
・利点
成型機のノズル部を変更など、比較的容易に構造を変更することが出来ます。
・欠点
樹脂抜け(色抜け)が悪くなります。
射出時の圧力損失が発生します。
計量過程(混錬不良)での色斑対策
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・ローダー設定の見直し
粉砕を適量混ぜるためには、粉砕も配合機で配合や、混合原料の割合が高まらないよう、ローダー設定を変更すことが必要となります。
生産はじめでは、ローダーサイクルの休止時間を活用することで粉砕の発生を待ちながら原料供給をすることができます。 -
・樹脂搬送用ホースのエアー取り込み
ローダー設定で粉砕割合を高めることが出来ない時には、混合原料側の輸送時にエアーを取り込むことで輸送される原料を少なくして、粉砕の比率を多くします。
エアーの取り込み量は、継ぎ手等の吸気窓の開き具合。継ぎ手の追加。輸送の切り替え回数を増やすと多くなります。