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射出成形オペレーターの知識蔵異物付着の悩み>グリスの変色原因と劣化・変質
 金型は開閉だけでなく割型などのスライド部。突き出しピン等の多くの金属パーツが稼働しています。稼働する金属パーツは摩擦による発熱や潤滑部の摩耗物の混入や酸化により変質や変色が発生します。

グリス劣化・変質の原因

 金型等に使用されたグリスは、金型動作による摩擦。樹脂による熱。酸化など様々な影響により劣化・変質します。劣化が著しい場合には、劣化原因を確認して対処することで、グリスが長持ちします。

グリスの酸化
 グリスは時間経過とともに酸化により劣化します。特に熱が加わると酸化が進みグリスが硬化します。使用する箇所(金型)の温度と使用に伴う摩擦等による熱がグリスの耐熱温度に収まるグリスを使用することが大切です。

油膜切れ
 グリスが潤滑を果たす際に大きな荷重が加わると、金属表面を覆う油膜が切れグリスを塗っているにも関わらず金属の摩耗等が発生します。大きな荷重が加わる箇所ではグリスも高荷重に対応したグリスであることが必要です。(モリブデン配合 極圧など)

水分混入
 グリスに水分が混じると乳白色となり、軟化します。また、グリスに含んだ水分が錆の原因となります。

低温・高温
 グリスは低温でちょう度が硬くなり、高温となるとちょう度が柔らかくなります。
 低温ではグリスが硬くなることで、動作に伴う抵抗が大きくなります。
 高温ではグリスが柔らかくなり抵抗が小さくなる一方で、必要な粘りを失うことで湿布性を失い滴り落ちます。また、耐熱温度を超えると酸化が進みます。


グリスの変色原因

 グリスが変質するとグリスの見た目に変化が現れます。変質したグリスは全て拭き取り塗り直すことが必要ですが、変質した原因を確認して原因の除去。原因に対応したグリスの種類に変更することでグリスの機能が向上し、メンテナンスの労力が軽減されます。
赤茶けたグリス
 ・樹脂ガスの混入
 成形に伴い発生した樹脂ガスが異物としてグリスに混ざり合うことで赤茶色に変色します。
 ・錆の混入
 ガイド軸や軸受内部のベアリングなどに錆が発生していると、錆が混じることで赤茶色に変色します。
 ・潤滑不良による摩耗
 グリスの湿布が不十分な場所やグリスが塗られていても油膜切れをおこすと摩擦による発熱による変質。金属粉の発生による混入に赤茶色に変色します。

黒いグリス
 ・潤滑不良による摩耗
 グリスの湿布が不十分な場所やグリスが塗られていても油膜切れをおこすと摩擦による発熱による変質。金属粉の発生による混入により黒く変色します。

白いグリス
 ・水分の混入
 グリスに水分が混じると乳化により乳白色に変色します。

変質して焼き付いたグリスグリス

  • 焼き付いたグリス
  • ・変質し焼き付いたグリス

     マルチパーパスグリスが変質して焼き付いた状態です。
     メンテナンスを怠ることで単にグリスの変質だけでなく、酸化と気化により油膜切れを起こした状態で荷重が加わっため、摩擦により焼き付きます。


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