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射出成形オペレーターの知識蔵除電装置の効果的な活用の悩み>除電装置の性能評価
 除電装置(イオナイザー)は使用に伴い、電極針の劣化(摩耗)により徐々に除電能力が低下します。また、単に除電能力低下するだけでなく、イオンバランスの乱れが発生することで除電効率が大きく低下します。
 電極針の劣化を始めとした性能低下は、見た目で判断できないため測定機を使用した除電能力の確認が必要となります。

測定器による主な性能確認事由

除電装置の種類毎の能力確認
 除電装置は機種毎に除電能力(性能)に大きさがあります。使用において特に需要となる能力としては、規定の帯電値から必要とする除電時間の項目です。
 複数の異なる機種の除電装置を使用する場合、各除電装置の仕様による能力確認や、実際に測定器を用いて能力確認をすることで、必要となる除電時間や求める除電能力の有無を確認することができ、有効に除電装置を使用することが出来ます。

除電装置からの対処物までの配置による除電能力の低減状況確認
 除電装置から除電対象とまで距離が離れると、除電能力は大きく低下します。また、設置されが環境(コンベアの構造、周囲の金属フレームの有無、空調等の影響など)により、実際の除電能力に大きな差が発生します。
 予め、除電対象となる位置において測定器で除電能力を確認することで、実際に必要とする除電時間の設定や、除電性能を満たしているかを確認することが出来ます。

電極針の清掃による効果確認
 清掃前と清掃後の能力差を測定することで、清掃頻度の目安を設定することができます。
 使用時間や使用環境。除電装置の種類により、清掃頻度が2週間と言われていますが、1か月程度の清掃頻度まで大きな支障なく伸ばすことができる場合があります。

電極針の劣化確認
 電極針は先端部の摩耗。白化や黒化等の見た目の劣化を容易に確認できます。しかし、見た目の劣化から除電能力の性能影響は測定してみないと確認することが出来ません。
 劣化による性能低下により必要な能力を満たしているかの確認や、電極針の交換頻度の目安を設定することができます。

除電能力測定機による性能評価

  • CPM(チャージプレートモニター)
  • ・CPM(チャージプレートモニター)

     除電能力を測定するため、帯電させたプレートをイオナイザーから放出されるイオンをあてることで、イオンバランスと減衰時間を測定することで除電能力の性能を評価します。

CPMによる除電能力の評価項目

 除電能力の性能評価では、イオンバランスと減衰時間により性能を評価することが出来ます。イオンバランスの悪化や、減衰時間が求める性能を満たさない時には電極針の交換や除電装置の設置場所等の見直しが必要となります。
イオンバランス(イオン品質)
 イオンバランスは、除電機から発せられる+イオンと-イオンの比率です。
 電極から均等にイオンが発生られている状態では、イオンバランスが0Vに近い値を示します。
 イオンバランス値が、除電機で最終的に除電できる値となります。
 電極針は+側の劣化が早いため、多くの場合で電極針が劣化してくると-側に偏りが発生します。
 除電装置が直流タイプ(+と-のイオン発生場所が異なるタイプ)の場合、+と-の電極針のの位置関係により、場所によってイオンバランスに違いが生じます。


減衰時間(ディケイタイム)
 帯電プレートにためた静電気が除電装置により中和される所要時間(減衰時間)を測定します。
 減衰時間は、除電速度を表し、除電速度の速さによりイオン濃度の濃さを判断することが出来ます。減衰時間が短いほど、濃度の濃いイオンが発生していると判断することができます。



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