射出成形オペレーターの知識蔵

射出成形オペレーターの知識蔵原料の悩み>射出成型のブレンドタンク・配合機での色ムラ対策
 着色剤にマスターバッチを使用した時、マスターバッチとナチュラルペレットとの混合過程で静電気による分離が発生します。ブレンドタンクでの静電気による色ムラは、一度に配合する量が多いため非常に大きな影響が発生ます。

・ブレンドタンク・配合機による色ムラ対策

ブレンドタンク内部への張り付き
 ブレンドタンクによる原料混合では、一度の作業で多量の混合を行います。静電気等の分離が一度発生すると、ブレンドタンク内部の表面積が大きいため、ブレンドタンク内部(側面等)に張り付くマスターバッチの量も多く、色ムラの影響が大きくなります。

原因:
 ブレンドタンクで撹拌する際、ペレット(樹脂)同士やブレンドタンク内部(金属)がぶつかり摩擦が起きることで静電気が発生します。
 静電気が帯電することでマスターバッチ又はナチュラルペレットがブレンドタンク内に張り付くことで分離が起こります。

対策:
1.ブレンドタンク内の静電気
・マスターバッチの帯電防止
 マスターバッチに帯電防止剤を使用して撹拌中の静電気の帯電を予防します。帯電防止剤では、マスターバッチに練り込み使用するもの。ドライカラーのように表面に塗布するもの等があります。自社作成や特注による外注するマスターバッチでは、マスターバッチの造粒段階で練り込むことができます。
・マスターバッチの除電
 マスターバッチを造粒段階で除電装置によって静電気を除去しておきます。撹拌中に発生する静電気を防止することはできませんが、元々の静電気が少なければその分だけ分離が軽減されます。
・ブレンドタンクの除電を行う
 ブレンドタンクの外側にエレクトロメッシュ(導電性放電素子入織布)を貼り付けることでコロナ放電により除電を行います。
2.撹拌時間の調整
 撹拌時間は通常長いと均一な混合が行われます。しかし、静電気により分離が起きる時の混合では、長すぎる撹拌は静電気が強くなることでより多くの分離が発生します。
 撹拌時間は、均一な混合が行われる最小時間とすることで静電気による分離を軽減することができます。
3.ブレンドタンクから配合機に変更する
 撹拌時の原料が少なければ、分離が起きた時の影響は少なくなります。
 撹拌作業を小分けにするなどして分離の影響を小さくします。但し容量の大きいブレンドタンクをそのまま使用すると、ブレンドタンク内部の表面積が大きいため、分離するマスターバッチの割合が大きくなり、分離が悪化します。
 配合機を使用すると撹拌部は容量の少ない空間で1バッチ単位で撹拌するため、分離による影響が小さくなります。


この他効果の乏しかった対策(経験談)や断念した対策:
・ブレンドタンク本体へのアースの取付
 → あまり意味がありませんでした。
・ブレンドタンク内部への除電エアー(ブロア)の送り込み
 回転中ブレンドタンクに継続して除電エアーを送る装置や手段がなく、実行できませんでした。


配合機(自動混合器)の待機バッチでの張り付き
 配合機(自動混合器)では、ブレンドタンク同様に摩擦により静電気を帯電します。
 ブレンドタンクと比較して1回当たりの混合量が少ないため配合機内での分離影響は小さい傾向にあります。しかし、静電気の影響により輸送段階やホッパー内で分離が起こり、色ムラとなります。

対策:
・1バッチ量を輸送1サイクルで処理できる量にする
 配合機による1バッチ量は、設定により変更することが出来ます。
 ローダーによる輸送1サイクルで、1バッチを残さず全て吸い上げることで配合機内での分離影響をほぼ解消することができます。

1バッチ量を減らして起きる問題:
・配合機の機種によっては1バッチ量を少なくすると計量誤差による配合比のズレが大きくなり、計量問題により色斑が発生することがあります。計量監視を活することで解消できることもあります。
・1バッチの量が少ないと原料の供給が成形サイクルが間に合わなくなります。原料の消費量が多い非常に多いと設定が難しい場合があります。

・1バッチとは
 配合機による1回の計量・撹拌で作られる混合原料のこと。

撹拌過程での分離

  • 配合機の撹拌部
  • ・配合機の撹拌部

     撹拌気でマスターバッチとナチュラルペレットが混ぜられ、周囲の金属部等と摩擦が起きることで多量の静電気が発生し、マスターバッチとナチュラルペレットが帯電します。

 次ページ:原料タンク・ホッパー・ホースでの色ムラ対策

原料の悩みカテゴリ

ブログ

ページのトップへ戻る