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射出成形オペレーターの知識蔵異物付着の悩み>成形中の樹脂カス付着予防対策
 成形中の金型内部で発生する樹脂カスの発生対策をしてなお、樹脂カスが少なからず発生する時には、樹脂カスが製品に付着しないよう付着予防対策を行い品質に影響が出ないようにします。
 付着予防対策では、樹脂カスが金型に堆積することで製品に付着することを予防する樹脂カスの除去対策と、製品に付着し難くするための付着予防対策があります。

成形中金型内の樹脂カス除去対策

エアーブローによる除去
 金型側面や上部にエアーブローを取付け、成形機エアー回路を利用して金型内にエアーを吹き付けることで樹脂カスを除去します。
具体的方法:
1.エアーブローを金型側面等に取付、エアーの吹き出し方向を金型内に向ける。
2.成形機のエアー回路を設定し、吹き付け時間に応じた中間タイマーを設定する。
3.製品取出し後(取出機が出た後)にエアーブローの吹き付ける。
利点:
・連続成形過程の工程に組み込むことで安定してエアーを吹き付けによる除去をすることができます。
欠点:
・エアーの吹き付け角度は常に一定となるため、樹脂カスを除去できる箇所に斑が生まれます。斑防止には複数のエアーブローを交互に切り替えて使用する必要があります。
・中間タイマーを使用することで成形サイクルが長くなります。
・エアー吹き付けにより金型温度が低下します。

エアーガンによる除去
 エアーガンを使用して金型内を手作業でエアーを吹き付けることで樹脂カスを除去します。
利点:
・作業者が丁寧に行うことで樹脂カスを斑なく除去することができます。
欠点:
・作業に伴い成形の中断があるため、中断(停止)後の成形不良が多く発生します。また、連続成形が特に重要となる成形では中断作業を取り入れることが難しくなります。

イオンガン(イオンブローガン)による除去
 除電電極を持ち除電効果があるエアーガンです。イオンガンを使用して樹脂カスを除去すると、樹脂カスの静電気を除去することで樹脂カスが金型等へ再付着し難くなります。
利点:
・作業者が丁寧に行うことで樹脂カスを斑なく除去することができます。
・通常のエアーガンによる除去作業より、製品への付着軽減が期待されます。
欠点:
・作業に伴い成形を停止させる必要があるため、停止後の成形不良が多く発生します。また、連続成形が特に重要な成形では作業を取り入れることは出来ません。


成形中金型内の樹脂カス付着予防対策

静電気除去装置(除電装置)による製品と樹脂カスの除電
 金型側面や上部。取出機のメインアーム等に除電装置を設置し、金型の型開時に除電イオンを送り込み製品と樹脂カスの静電気を除去することで樹脂カスの付着を予防します。
利点:
・連続成形を止めることなく、安定して静電気を送り込むことができます。
欠点:
・樹脂カスを除去する効果は期待できないため、金型内に堆積する樹脂カス対策が別に必要となります。
・除電装置との距離が離れるほど予防効果は大きく低下します。 
・除電効果により製品の金型からの離型動作が変化します。

成形中金型内の樹脂カス除去と付着予防対策

  • エアーブローによる除去対策
  • ・エアーブローによる除去対策

     エアーブローによる樹脂カスの除去。
     樹脂カスの除去効果を高めるためには、移動型と固定側夫々に吹き付けなど工夫が必要となります。

  • エアーガンによる除去対策
  • ・エアーガンによる除去対策

     エアーガンを使用した樹脂カスの除去。
     安定した効果を得るためには、定時毎の作業を実施することが必要となります。

  • 除電装置による付着予防対策
  • ・除電装置による付着予防対策

     樹脂カスの付着防止に除電装置のブロアによりイオンを金型内に送り込みます。
     樹脂カスを除去する効果は期待できず、主に製品が樹脂カスを吸着しない効果が期待されます。


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