射出成形オペレーターの知識蔵

射出成形オペレーターの知識蔵冷却水の悩み>冷却水流量計(フローメーター)
 射出成型の金型は適切な冷却がないと、バリやショート。ウエルドライン等の不良原因となるため、冷却水を安定し供給することが重要です。金型冷却水の流量確認では、フロート式のものや、配管の外側から測定する流量計などがあります。
水流計の仕組み
・浮き子式流量計(本ページ紹介もの)
 メモリが付与されたテーパ管内部の通過する冷却水がフロートとテーパ管の隙間を通過すことでフロートが持ち上がり、流量を示します。

水流量計の主な不具合と原因
 水流量計は流れる冷却水の品質によりスケールの付着。テーパ管とフロートの間への異物挟まりによるフロートの動作不良。パッキン部の劣化による水漏れ。金属部の腐食等が発生します。
 動作不良や劣化予防には冷却水の水質を改善する必要があります。
・スケールの付着、詰まり
 水質の電解質(主にカルシウム)濃度が高いことが原因です。主に電気流れる金属部に多く付着します。付着したスケールは徐々に大きくなり、剥離した際にフロートとテーパ管の間への挟まりや、配管部に詰まりを発生させます。
・テーパ管メモリの読み取り不良
 水垢や藻が繁殖付着することでテーパ管の透明度が失われフロートの位置が確認できなくなります。
 テーパ管の材質がアクリル製のものでは、汚れを取るために擦り洗うと細かい傷がつき透明度が失われます。
・金属部の腐食
 金属パーツは材質ごとの性質により、流れる冷却水の水質(pH、溶存酸素など)と含まれる異物により腐食が進行します。
 鉄(スチール)部は、pHが酸性により腐食が進む一方、アルミニウムは、両性金属のため酸性でもアルカリ性でも腐食が進みます。

浮き子式流量計の仕組みとメンテナンス

  • 浮き子式流量計
  • ・浮き子式流量計

     フロート式の流量計です。冷却水は下から供給され、流量に応じてフロートが浮き上がります。浮き上がった高さに流量を確認することができます。

  • 詰まりが発生した流量計
  • ・詰まりが発生した流量計

     テーパ管の内側が黄色に汚れ、配管部やパッキン部(黒いニトリルゴム)に白いスケールが付着し細くなっています。

  • 水栓部
  • ・水栓部

     白いスケールにより水栓部の取付部にスケールが付着し塞がっています。

  • スケール除去
  • ・スケール除去

     付着したスケールは、石のように固く容易に除去出来ません。
     スケール除去剤やクエン酸につけ置き洗いすることでスケールが軟化して除去することが容易となります。
     クエン酸のつけ置きでは、写真のように酷いものでは数時間付けておくことでかなりの効果が見込めます。

  • スケールを除去した水流量計
  • ・スケールを除去した水流量計

     クエン酸に浸して軟化したスケールを擦り落として除去したパーツです。
     アクリル部もクエン酸に浸したことで、柔らかい布でなでるだけできれいになります(傷防止)。

  • ゴムパッキン(ニトリルゴム)
  • ・ゴムパッキン(ニトリルゴム)の交換品

     水漏れのパッキン部分は、劣化により硬質化するため古くなると再利用することができません。
     交換品を用意し、組立てれば清掃が終了です。

組立後の水漏れ等について

 スケールは多すぎると詰まり等を発生させる一方、少量のスケールは水漏れを予防する効果があります。
 スケールを除去することで各パーツの擦り合わせが変わることで水漏れが発生することあります。組立後は水漏れを十分に確認する必要があります。
 水漏れする場合、ゴムパッキンの締め付けを強くする。水栓取付部のシール材を十分に行うことで防ぐことが出来ます。

流量計の種類

 流量計には本ページ紹介する浮き子式流量計の他、配管外側から流量を測定するものや、内部に装置を持つ流量計なのがあります。
 主な流量計の種類:
 電磁式流量計、カルマン渦式流量計、羽根車式流量計、熱式流量計、ダイヤフラム式流量計、超音波式流量計、ユリオリ式流量計 など


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