- 射出成形オペレーターの知識蔵>除電装置の効果的な活用の悩み>除電装置による異物対策
- プラスチック成形により生産した製品は強い静電気を帯びている物があります。強い静電気を帯びた製品は、周囲の異物を引き寄せて吸着するため付着異物による不良品が多く発生します。静電気対策には除電装置を用います。
射出成型により静電気が帯電する仕組み
プラスチック成形では、樹脂が高温で融解し高圧で金型内に流れ込みます。
金型に流れ込んだ樹脂は、接触面で電気二十層が発生します。金型とプラスチックが接触している辞典ですが中性ですが、プラスチック成形品が分離する時、電気層が正と負に分離して帯電します。
除電装置の主な種類
除電装置のイオン発生法では、高周波方式、交流方式、直流方式等があり方式に違いがあります。また、イオンを送る方法でもブロアやエアーを利用するなど、無風なものなど効果や特性に違いがあります。
付着異物対策に用いる時は、異物が付着する前に十分な除電を行うことが出来る除電装置を選択しなければ十分な効果を得ることができません。
ガンタイプ(イオンガン)
・特徴
金型内の樹脂カスの除去や、製品に付着した異物を除去・再付着を予防するために使用するガンタイプの除電装置です。成形後の検査やクリーニング作業等でも使用されます。
ブロア型(ファンタイプ)
・特徴
ファンを内蔵した除電装置でファンによる風量で離れた箇所にイオンを送ることができます。エアー供給を出来ない箇所でも容易に設置することができます。
・使用感
大きな除電効果を簡単に得ることが出来る反面、除電装置のファン等が樹脂ガスなどに汚染されて汚れが堆積します。クリーンルーム以外の使用では、定期的に分解した入念な清掃等のメンテナンスが必要となります。
バータイプ(送りエアータイプ)
・特徴
大きい物や多量の製品等を幅広く除電したいときに活躍する除電装置です。送りエアーによりイオンを送り離れた箇所に送ることが出来ます。
・使用感
幅広い除電により、広範囲を一度に除電する、ライン上に設置して長時間除電するなど使い勝手が良い除電装置です。
無風型
・特徴
無風の為、重量が軽い製品。僅かな塵や埃の舞い上がりによる付着が懸念される場合にも設置することが出来ます。
・使用感
動作確認が通電ランプのみのため、見た目では除電出来ているか心許ない印象を受けます。
対象物との距離が少し離れるだけで大きく効果が低下しますが、除電時間を長くすることが可能であればかなりの除電効果を得ることが出来ます。
除電効果の検証と確認方法
帯電する静電気は、製品の材質や生産工程により正と負。帯電量の大きさに違いがあります。また、使用する除電装置の種類による特性。除電装置と除電する対象物の距離。対象物の状態により除電効果に違いがあります。
このため、実際の除電効果は様々な要因に複雑関係するため、一概に除電装置の能力で除電効果を判断することが出来ません。
必要な除電効果が得られているかを検証するために、除電後の対象物の静電気の状態を測定し、確認しなければなりません。
また、除電装置の設置場所(角度や距離)や種類。対象物の状態についても、除電効果を測定した結果を元に調整しなければ大きな静電気除去の効果を得ることが出来ません。
主な除電装置
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・ブロア型(ファンタイプ)
内臓のファンによりイオンを送ることが出来る除電装置です。電源のみで使用できるため、設置が容易でありながら高い除電効果を得ることが出来ます。
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・バータイプ(送りエアータイプ)
送りエアーによりイオンを送り離れた箇所に送ることが出来ます。
バータータイプは幅広い面積の静電気除去に適しています。 -
・無風型除電装置
電源ランプの点灯以外に動作していることすらわからない無風タイプです。
エアー等が使用できない時の除電に適しています。
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