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- 冷凍機とも呼称されるチラー(冷却水循環装置)。
水などの触媒を循環させることで冷却等の温度調節を行う装置です。チラーを用いることでより安定した温度調節が可能となり製品品質を安定させることが出来ます。
チラー(冷却水循環装置)の役割
チラーは水などの触媒を循環させることで冷却等の温度調節を行う装置です。
チラーを用いることで、安定した温度調節が可能となるだけでなく、コンプレッサーを搭載していることで冷却に供給される水や空気よりも低温度まで設定(冷却)することが出来ます。
このため、チラーは冷却水の温度管理の面で製品品質を安定させることが出来ます。
また、生産活動に伴う冷却設備に冷却塔等の冷却水をそのまま用いることは、冷却水の水質悪化の問題等により設備に深刻な障害をもたらすことがあります。チラーを挟むことでチラーから設備に循環する冷却水と冷却塔の冷却水を分けて管理する。チラーから設備に循環する触媒に水以外の液体を用いることができます。
この他、空冷式チラーを用いることで配管等の設備なしに簡単に冷却水を提供することも可能となります。
チラー(冷却水循環装置)の種類
・水冷式チラー
チラー内の冷凍機の冷却に水を使用するタイプです。放熱された熱は冷却水を通じて冷却塔等から屋外に放熱されます。
冷却塔等の冷却システム(配管)に接続することが必要となりますが、水を利用するため冷却効率が高く、冷却能力に優れたものがあります。
・空冷式チラー
ファンを搭載しラジエーターの冷却に空気を使用するタイプです。放熱された熱は機械の周囲に放熱するため室温が上昇します。
狭い室内ほど室温上昇が大きく、空調設備により排気や冷房(冷却)が必要となります。
チラー本体のみで別に大掛かりな設備が不要のため、簡単に設置することができます。
チラー(冷却水循環装置)に用いる冷却水
チラーのタンク及び循環に使用する冷却水では、単に水道水を使用する場合もありますが防錆剤等を添加することが可能です。この他、ミネラル分を除去した軟水や蒸留水。
LLC(クーラント)等のグリコール系の不凍液。アルコール系やフッ素系の物などがあります。
防錆剤が添加されたLLC(クーラント)等を使用することで凍結防止と配管内の錆によ腐食や詰まりの発生を予防することが出来ます。
循環する冷却水が単に水道水であっても、循環や冷却に過程での気化による濃縮が少なく、水質の変質が少ない状態で利用することができます。
水冷式チラーと空冷式チラー
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・水冷式チラー
水冷式チラーです。内部に冷却水タンクを内蔵。冷凍機によりタンク内の水の冷却など温度調節を行います。
タンク内の水(循環水)と放熱用の冷却水が混ざらない設計となっています。 -
・空冷式チラー
空冷式チラーです。内部に冷却水タンクを内蔵。正面の吸気口から多量の空気を取り込むことで冷凍機から発生する熱を放熱します。
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・空冷式チラーのラジエーター
空冷式チラーの放熱部。細かいフィンの間をファンにより吸気された空気が通過することで熱交換を行い放熱します。
フィンやスクリーンが詰まると冷却効率が低下するため、定期的な清掃が必要となります。
水冷式チラーの冷却水に水道水を用いた影響
チラーのタンク内の冷却水(循環水)は、冷却や循環経路において密閉されているため水質の変化が小さい構造となっています。循環水と比べて冷却塔を流れる水は、管理状況にもよりますが通常カルシウム等の電解質が多く、pHが強アルカリ性です。
チラーのタンク内に水道水を用いるだけで、流れる冷却水は軟水。pHは中性に近いものが流れるため循環水が流れる配管等の設備保護に一定の効果を期待することが出来ます。
冷却水にLLCを用いた影響
LLCは不凍成分(エチレングリコール)に防錆剤等を添加されています。使用温度が0℃に近い低温となる使用でも凍結による破損防止を図ることが出来ます。また、防錆剤により配管等の内部腐食を予防することができます。
不凍結性能や防錆性能は希釈することにより低下するだけでなく、防錆性能は使用年数に応じても劣化します。
十分な防錆性能を維持するためには、防錆効果がある最低希釈倍数を守る。定期的に冷却水の総入れ替えを行う必要があります。
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