射出成形オペレーターの知識蔵

射出成形オペレーターの知識蔵異物付着の悩み>帯電防止剤による付着異物対策
 プラスチック成形では、成形による生産された多くの製品が強い静電気を帯びることで、周囲の異物を吸着することで多く発生します。
 帯電防止剤を使用すると、静電気の帯電を押さえる効果により異物の付着予防効果が期待できます。

プラスチック帯電防止剤の作用

 帯電防止剤は、絶縁体であるプラスチックに導電性を持たせることで静電気の帯電を防止する薬剤です。
 プラスチック用の帯電防止剤の多くは、界面活性剤を使用しています。
 界面活性剤をプラスチックに練り込む。又は、表面に塗布することで空気中の水分を吸着することで帯電防止効果を得ることが出来ます。

 帯電防止剤には、界面活性剤以外の

 使用する樹脂種類によっては、成形(高温で融解)すると一部が油分となって分離し易いものがあります。分離した油分はガス抜け部から樹脂ガスともに排出されますが、油分が金型に堆積することで製品部に滲み出て油付着となります。
対策:
・金型の定期清掃を行う
 油分の堆積量が多くならないよう、定期的に金型のガス抜け部を中心に拭き取り清掃を行います。

樹脂ガスの堆積
 射出成型に伴い発生する樹脂ガスは、堆積することで顕著な油分として金型に付着します。樹脂ガスが金型に油分となって付着すると、製品部に滲み出て油付着となります。
対策:
・樹脂温度を下げる
 樹脂ガスは樹脂温度が高いほど多く発生します。樹脂温度を下げることとで樹脂ガスの発生量を減らすことが出来ます。
・金型の定期清掃を行う
 樹脂ガスが油分として堆積量が多くならないよう、定期的に金型のガス抜け部を中心に拭き取り清掃を行います。
 拭き取り清掃出来ない内部については、頻度を定めて定期的に分解洗浄を行います。
・ガス抜け部を改良する
 ガス抜け部の位置変更することで製品に付着し難い位置に変更します。
 金型のガス抜けを良くすることで樹脂ガスの堆積減らします。

エアーブロアからの混入
 バリやゲートから発生する樹脂カスの吹き飛ばし。金型冷却にコンプレッサーからのエアーによるブロアを使用すると、コンプレッサーからの油分が流入して付着します。
対策:
・コンプレッサエアーに各種フィルターを取り付ける
 コンプレッサーに水分や油分を除去するフィルターが付いてる場合でも、使用する直前の箇所(成形機周り)で再度フィルターを通して油分を除去して使用します。

金型グリスの付着
 ガイド軸やテーパーピンに使用された金型潤滑油(グリス)が飛散して付着します。
対策:
・グリスを塗り過ぎない
 グルスアップの際、グリス量を調整して塗り過ぎない。特に金型動作でグリスがはみ出る場合には、はみ出た分をふき取るなどグリス量に注意します。
・グリスの定期的な塗り替えを行う
 グリスは使用とともに品質が劣化し、使用当初からちょう度(粘り)も変化します。古いグリスを残して新しいグリスを追加すると、変質して粘りを失ったグリスが飛散し易くなります。
 粘りを維持するためには、定期的に古いグリスを拭き取り、新しいグリスを塗り直す必要があります。 グリスの種類によっては、古くなるとカスとなって飛散するものもあります。
・グリスの種類を変える
 グリスのちょう度の変更。使用している金型温度で半固体状態に対応したも物への変更。リチウム系マルチパーパスグリスからフッ素系グリース等へ変更します。
 グリースの種類により適した用途が異なりますが、多くの場合で使えないことはない範囲の違いです。金型グリースの維持点検に状況に合わせ、グリスの種類を変更することで飛散を大きく軽減することが出来ます。
・金型速度(型開き、型締め)を遅くする
 金型動作の構造上、グリス量が適切でも飛散を防げない場合があります。金型動作でグリスが飛散する時の動作速度を遅くすることで飛散を軽減することが出来ます。


取出機からのグリス落下
 取出ロボットの稼働に使用されたグリスが落下することで製品の油付着が発生します。
 主に製品を取り出すメインの上下可動部。前後のキック部のガイドグリスが製品への付着原因となります。
対策:
 ガイド等のグリスが堆積分はふき取り清掃を行います。
 グリスの量が適正であるにも関わらずガイド等の下(グリス受け)に滴っている場合には、使用するグリスの種類を変更します。

予防:
 取出ロボットのグリスアップ等のメンテナンス後にはみ出たグリスを適切に処理することである程度予防することが出来ます。

取出機の吸着・真空破壊から吹き出し
 取出ロボットの製品吸着等のエアーにコンプレッサーからの油分が流入して付着します。
対策:
・コンプレッサエアーに各種フィルターを取り付ける
 コンプレッサーに水分や油分を除去するフィルターが付いてる場合でも、使用する直前の箇所(成形機周り)で再度フィルターを通して油分を除去して使用します。

除電装置からの吹き出し
 除電装置のイオン搬送のエアーにコンプレッサーからの油分が流入して付着します。
対策:
・コンプレッサエアーに各種フィルターを取り付ける
 コンプレッサーに水分や油分を除去するフィルターが付いてる場合でも、使用する直前の箇所(成形機周り)で再度フィルターを通して油分を除去して使用します。

油付着の発生源

  • 金型のガイド軸
  • ・金型のガイド軸

     グリスがはみ出たガイド軸です。グリス量が多すぎるためガイド軸の裾に堆積しています。動作速度や金型の構造によっては、開閉時にグリスが飛散する原因となります。

  • 取出機のキック部
  • ・取出機のキック部

     取出ロボットの前後動作するキック部です。製品部直上にあるため、特にグリス落下に注意が必要な箇所です。
     グリスの堆積や液状になったグリスの雫が付着していた場合は、適切なメンテナンスが必要です。

  • 取出機の吸着パッド
  • ・取出機の吸着パッド

     製品吸着と解放動作にはコンプレッサーエアーを使用しています。
     エアーホースまで流入した油分は製品解放時の吹き出しにより付着します。

  • 圧縮空気用各種フィルター
  • ・圧縮空気用各種エアフィルター

     コンプレッサからのエアー(圧縮空気)を浄化する各種フィルターです。
    ・水分を除去するミストセパレータ
    ・油分を除去するオイルミストセパレータ
    ・固形異物を除去と圧力を調節するフィルタレギュレーター 等を使用します


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