射出成形オペレーターの知識蔵

射出成形オペレーターの知識蔵除電装置の効果的な活用の悩み>イオナイザーの清掃方法とメンテナンス
 除電装置(イオナイザー)は、電極針の汚れの付着や劣化が起きるとイオンの発生量が減少し、除電速度が遅くなるなど必要な能力を満たさなくなります。また、イオンを送るエアーやブロアの汚れにより油や異物付着などの原因となるため、清掃や電極針の交換などのメンテナンスが重要となります。

除電装置の清掃頻度
 通常の電極針(ローメンテナンス電極針以外)の24時間使用で約2週間が目安。
 使用する環境により汚れ方が大きく変わります。しかし、電極針については空気中の埃等だけでなく空気中の有機物(二酸化ケイ素など)が付着堆積するため、綺麗な環境で使用しても電極針の露出面積が減少することで発生するイオン量が減少します。
 汚れにくい設計の電極針(ローメンテナンス電極針)の場合、イオナイザーに汚れ検知モード等で診断することができる機種もあります。

除電装置の清掃方法
・電極針
 電極針は放電等により空気中の汚れの吸着や付着により白い粉のようなものが付着します。
 電極針のついた基盤や、電極カートリッジを外して針本体をアルコールを浸した綿棒やウエスで拭き掃除を行います。
・ブロア型の吸気口
 吸気口のフィルターを外して、エアーガン等で汚れを吹き飛ばして掃除します。フィルターの抑え部等はアルコールを浸したウエス等で拭き掃除を行います。
・ブロア型のファン部
 吸気口のフィルターの清掃が不十分での使用や、使用環境の悪いとファンの羽に多くの汚れが付着します。ファンについた汚れは、本体を分解してファンを露出し、アルコールを浸した綿棒やウエス等を使用して羽根を1枚1枚拭き掃除を行います。
・イオナイザーのエア供給部
 電極針から発生したイオンを送達させるカートリッジのエア供給部は、供給されたエアーの汚れが堆積します。カートリッジ等を外してアルコールを浸した綿棒等で拭き掃除を行います。
・レギュレター、オイルミストフィルター等
 コンプレッサー等から供給するエアーを清浄化する各種フィルター類は、使用とともに内部に汚れが蓄積されます。排出ボタンをおして油等の排出や、エレメントの汚れが酷ければ交換等を行います。

除電針の交換
 電極針は使用とともに劣化(摩耗)し、イオン発生量が減少します。特に+側の電極針の劣化(摩耗)早く、徐々にイオンバランスが-側への偏りが発生します。
 見た目劣化(摩耗)が激しい時。除電能力を測定し、十分な除電能力を発揮できない時には、電極針の交換が必要です。
交換目安:1万時間(約2年)※
※電極針の材質や、使用環境により異なります。

バー型イオナイザーの清掃とメンテナンス

  • バー型イオナイザーの清掃
  • ・バー型イオナイザーの清掃

     使用に伴い汚れた外装。放電などにより汚れが付着した電極針の清掃と劣化状態の確認。イオンの送達用エアーによる汚れ状態の確認、エアーの各種エレメントの確認と蓄積されたゴミの排出を行います。

  • 電極針の取外し
  • ・電極針の取外し

     電源を切ったイオナイザー本体から電極針のついた電極カートリッジを取り外します。
     カートリッジは脱落防止(ダブルアクションロック)となっているため、所定の方法(半回転させて)で取り外します。

  • 電極カートリッジの電極針
  • ・電極カートリッジの電極針

     カートリッジ内部の電極針です。
     写真では判り辛いですが、上の針先端に白い付着物。
     上の針の先端が下の針の先端と比較し、少し短くなっています。
     上下共に針の先端が黒く変色しています。

  • カートリッジの清掃
  • ・カートリッジの清掃

     使用に伴い付着した表面の汚れをアルコールを浸した綿棒で清掃します。

  • 電極針の清掃
  • ・電極針の清掃

     表面の白い付着物等をアルコールを浸した綿棒で清掃します。

  • イオナイザーの外装の清掃
  • ・イオナイザーの外装の清掃

     イオナイザー外装の汚れをアルコールを浸したウエスで拭き清掃を行います。

  • 電極カートリッジの取付け
  • ・電極カートリッジの取付け

     電極カートリッジの取付を行います。
     電極針の劣化ムラを防止するため、電極カートリッジは、取外前(清掃前)と反転させて取り付けます。

  • エアーフィルター等のゴミの排出
  • ・エアーフィルター等のゴミの排出

     レギュレターやミストフィルター等で分離され堆積した異物やオイルを排出します。
     フィルター下部にウエス等をあて、ベントを押すことでエアーにより異物等が排出されます。

  • フィルターの汚れ確認
  • ・フィルターの汚れ確認

     窓から内部の濾過フィルターの状態を確認します。フィルターの汚れが酷ければ中のフィルター(エレメントアセンブリ)を交換します。

カートリッジ内部等の油付着について
 カートリッジを外して内部やカートリッジに濡れたような水膜があれば、エアーからコンプレッサ等の油分が流入しています。
 送達エアーのフィルタ性能が不十分。フィルターのメンテナンスが不十分であるとき、エアーからコンプレッサ等の油分が内部に入り込みます。
 油分が入り込んだ場合、フィルター以降のエアーホースの交換や清掃作業が必要となります。
 また、必要に応じてフィルター内部のエレメント交換。フィルターの追加等の対策が必要となります。



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