射出成形オペレーターの知識蔵

射出成形オペレーターの知識蔵パージの悩み>パージ作業における状況確認
 パージ作業を行う上で用いた材料や射出成形機の状況により、加熱筒やスクリュー等に残る材料や顔料の付着状況が大きく変わります。必要とするパージ作業前後の状況を確認することで、作業に伴う影響を予測し、材料や顔料の抜け易さ。作業後の生産時に起きる不良率(ヤケゴミ等の発生)の低下など、効率的かつ効果的にパージ作業を行うことが出来ます。

パージ作業前の状況確認

 パージ作業を行う際、置換を行う前後の状況(変化)により加熱筒内部の状況が大きく異なります。作業前と作業後の状況を予め確認し、加熱等の内部の状況を推察することで効果的なパージ作業方法を予測します。

・主な確認内容
・材料の種類
 材料よりヤケゴミや前材料、着色剤など(以下、ヤケゴミ等)が発生し易い。加熱筒に残りやすいなど特性に違いが少なからずあります。
・着色剤の種類
 着色剤は色が濃さより、着色剤種類により色が残りやすいものがあります。濃さに囚われることなく、前の色がパージ後の吐き出し材料に混入がないか見極めるために色を把握することは重要です。
・成形温度
 材料により成形温度が異なり、高温から低温への変更では高温状態でのパージ作業が効果的です。しかし、低温に下げた際にも残ったヤケゴミ等が出易いことに注意が必要です。
・成形時の計量速度(スクリュー回転数)
 パージ作業より成形時の計量速度が早いと、残ったヤケゴミ等が発生し易くなります。
 また、成形時のスクリューの高速回転であると、材料の種類や状況によっては空転し易くなりパージ作業に関係ないヤケゴミ等も発生します。
・成形時の計量背圧
 パージ作業では高背圧が効果的です。しかし、チェック機能がないオープンノズルでは成形時に方がパージ作業より高背圧となることがあります。(パージ作業時の鼻垂れ問題による)
 成形時の計量背圧がパージ作業時に高い場合、単純なパージ作業ではヤケゴミ等が特に発生し易くなります。
・パージ作業前の加熱筒の状況
 完全停止(ヒーターoff)からのパージか、保温からのスタートか、空焚き状態からのスタートか、前材料が放置された状態からのスタートかによりパージ作業後に発生し易いヤケゴミ等が異なります。

・パージ剤、パージ材料
・パージ剤
 メーカーより市販されているスクリュウー洗浄剤です。研磨効果などにより内部に残る前材料や貼り付いた劣化物を除去します。
 材料の種類により特異なパージ剤も異なるため、適合の有無を確認して用います。
・パージ材料
 通常新しい材料を用いて行います。しかし、高価な材料や新しい材料でパージが不十分なな時には異種原料を用います。

状況に応じた状態

 予測される加熱等の状態(ヤケゴミ等の発生状況)からパージ作業も簡略するこが出来ます。主な状態からのパージ手順は次の通り。
短時間停止状態からの再スタートによるパージ
 チョコ停(取出機や成形機のアラーム等)や金型点検等の数分程度の停止からの再スタートでは、加熱筒内部での樹脂の滞留時間が長くなることで熱劣化や流動に変化が起きています。オーバーパック(バリ等の発生)などの発生が予測されます。

完全停止状態からの再スタートによるパージ
 ヒーターoffからの再スタートでは、樹脂が高温から低温。高温へと変化したことで内部の樹脂は大きく変質しています。また、劣化した一部の樹脂が内部に貼り付くなどした状態です。

空焚き状態からのパージ
 完全停止状態からの再スタートと似通った状態です。内部の樹脂は大きく変質し、劣化した一部の樹脂が内部に貼り付いています。

近い温度帯の材料によるパージ
 融解温度の近い原料。同じ主原料を用いた色替えなど、成形条件の温度変化が小さい時、空焚きなどがなければ加熱筒内部の状態は整っています。しかし、用いた色(顔料)により色が残りやすい点に注意が必要です。

温度帯が大きく異なる材料でのパージ
 高温から低温に大きく変わり、材料の融解温度が不足することで正常にパージ出来ないことがあります。また、融解温度が足りていても加熱筒内部に材料や顔料が残りやすいことがあります。

高価な材料へ変更する際でのパージ
 高価な材料を用いるパージでは、通常でのパージ作業に加えコストの観点からパージ作業で消費される量にも注意が必要となります。
 安価な材料でのパージ作業(事前パージ)を挟み、高価な材料でのパージ作業(本パージ)を行うなどコストを低減した作業が検討されます。

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